生徒会の恋愛事情


耳元から聞こえた声は、小さかった。


光唆の腕の力が強くなる。


華羅お姉ちゃんとはまた違う感覚に、あたしは戸惑う。


「何に悩んでるか知らないけど、沙羅は一人で抱え込み過ぎなんだよ。
昔からそうだ…」


「光唆…」


「もっと俺のこと頼れよ。」


こんな光唆の声を初めて聞いた。


いつも馬鹿で明るいのに…高校進学できるか危うかった時よりも真剣で、焦っている。


悲愴感さえ感じられた。


「いつも…助けてもらってばっかりだよ?」


私生活でも生徒会でも、あたしはかなり光唆にお世話になっている。


これ以上頼れって…


「じゃあ何で、今の沙羅は泣いてるんだよ?
そんな思いつめた顔してるんだよ?


「…」


そんなの言えない。


光唆のことがどうのこうの以前に、誰にも言えないよ。



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