生徒会の恋愛事情
それから勇也先輩は、簡単に生徒会の説明をしてくれた。
この学校が、セレブな方々と契約して作られた特別な公立学校だそうだ。
勇也先輩達みたいなお金持ちの方々は、正式な試験に通らなくても入学できる代わりに、生徒会役員としての活動が義務付けられる。
でも、毎年生徒会役員の数にあっただけのお金持ちが入学してくるとは限らないから、足りない人数の分をあたしのような一般庶民の子も参加する事で生徒会を運営している。
そして給料が出るのは一般庶民枠の子だけで、セレブ枠の先輩達は給料どころか生徒会に必要な諸費を授業料とは別に出しているらしい。
あと、この学校は表向きは普通の公立学校だから、この事実が皆に伝わってはいけないらしい。
それで一般庶民枠の子は、一年生の最初のうちは話してもらえないらしい。
2年生以上で入る子は、セレブ枠の人が信用が置けると判断した人が入るから、最初から教えられているみたいだけど。
それで、まだ先輩達の信用を得ていないあたしは、今日まで教えてもらえなかったわけだ。
「っつても、弥がフライングで金持ちだってばらしちまったけどな。」
勉強会の前に、弥先輩と勇也先輩が話していた事を思い出す。
あれは、あたしと光唆にはまだ教えるのは早いという事だったのだ。
でも、勇也先輩は今こうして教えてくれてる。
信用してくれたって思っていいのかな?
そう考えると、あたしは嬉しくなった。
「まあ、そういうわけだから、金持ち会員限定のVIPルームの待合室にもいけるわけだ。」
「でも、それってネット予約とか出来ないんですか?」
「成りすまし防止の為に、空港で利用者本人が直接予約しないといけないんだ。
で、俺らは早くきたわけ。」
「そうだったんですか。
朝早くからありがとうございます。」
「礼を言われる程の事じゃねえよ。
せっかく華羅が海外に行くんだ。
待ち時間ぐらいゆっくりしてほしい。」