生徒会の恋愛事情
「そうだな。
可哀想に。」
「…聖也さんにも可哀想って感情があるんですね。」
「香里奈、どういう意味だ。」
「いやー聖也さんって恋愛に関して興味なさそうというか。
振られるのもまた運命って思ってそうというか。」
「否定はしないが、そりゃ哀れに思うぐらいはな。
光唆が沙羅を好きなのは誰の目から見ても明らかだろう。」
当然のように言う聖也先輩に、香里奈先輩は曖昧に笑う。
「確かに分かりやすいし、だからこそ応援してあげたいって思いますけど…誰が見ても分かるってわけではないと思いますよ。」
ここの生徒会、鈍感な人が多いから。
そう言う香里奈先輩に、聖也先輩は頷いた。
「自分の弟を忘れていた。」
「でしょ?
それに、弥君も案外そっちは駄目みたいです。
あと、あの様子だと沙羅ちゃんもちょっと鈍感かな。
そのせいで泣いた男の子とか多そうかなって。」
「沙羅は鈍感だろうな。
弥は…自分に向けられている好意以外にはちゃんと気付けるのにな。」
そう言って、聖也先輩は生徒会室を出ていく。
「光唆のフォローしてやれよ。」
「分かってますよ。」
そんな会話が繰り広げられていたなんて、あたしも光唆は知る由もなかった。