生徒会の恋愛事情
別荘に着くと、既に何人かの先輩達が来ていた。
勇也先輩は割ってしまった花瓶を一人で片付けていた。
手伝おうとしたら、聖也先輩に違う事を頼まれた。
「勇也の手伝いはいいから、これを読んで頭に入れといてくれ。」
渡されれたのは台本だった。
「これが…この前言ってた文化祭のやつですね!」
あたしと光唆に渡されたのは、一冊の台本だった。
生徒会が文化祭で公演する劇のものだった。
「完成したんですね!」
「そうなの!
今日までに間に合って本当に良かった!」
台所の方からひょっこり出てきたのは香里奈先輩だった。
「これ、香里奈先輩が一人で?」
「まあね。
直しはこれから皆でしていきたいなって思ってるんだけど、ひとまずはこれで。」
香里奈先輩が書いたという台本はとても分厚く、50ページ程あるらしい。
流石は生徒会がやる事、生半可なものにはならないだろうと思っていたけど…大作すぎる気がする。
香里奈先輩曰く、一回の公演に仕える時間が準備も含めて決まっていて、その中で出来る限界に挑戦してみたらしい。
「それで50ページ…」
「うん。
だいたい1ページ1分ぐらいかな!
だから50分ぐらい?
まあ、世界史の年表を覚えるよりは楽だから!」
世界史の年表と比べられる台本というのも、なかなか恐ろしい気もする。
でも、そんな事が気にならないような台本なんだろう。
この中には、色んな可能性が詰まっているような気がした。