生徒会の恋愛事情
「じゃあ…あたしが小百合先輩の役するから、沙羅ちゃんは華羅ちゃんの役でお願いね?」
「分かりました。」
返事した後に、いきなりヒロインである事を思い出したあたしは、ちょっと戸惑った。
それは、あの綺麗な微笑みがこちらに向けられたから。
「沙羅ちゃん、いきなりだけどよろしくね。」
「…はい。」
「沙羅ちゃん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ?
本番は華羅ちゃんなんだし、ヒロインの部分は読むだけでいいから!」
「ありがとうございます。」
そうだよね!
確かにラブストーリーだけど、あたしと弥先輩が恋人同士ってわけじゃないんだし…
そう自分に言い聞かせながら、あたしはドキドキして止まらない心臓を抑える。
「じゃあ準備はいい?
スタート!」
あたしは息を吸い、第一声を発する。