生徒会の恋愛事情


あたしは物語を思い出しながら読み始めた。


時は平安、主人公は貴族の青年―弥先輩―で、彼は疫病に掛かってしまう。


当時は陰陽師を邸宅に呼び、お祓いで病気を治すのが一般的だった。


だが、その疫病は多くの貴族を苦しめた事、青年は貴族の中でも下流である事から、出払ってしまった陰陽師を呼ぶ事も出来なかった。


彼の父―聖也先輩―は仕方なく巫女を呼ぶ事にした。


その巫女―華羅お姉ちゃん―は女であるが、非常に霊力が強かった。


お祓いをする際、青年と巫女は互いに顔を合わせ、そして恋に落ちた。


だが、青年には妻―香里奈先輩―がいたし、巫女は神聖なる者であった為に、二人は結ばれる事はないはずだった。


しかしながら、妻の母―小百合先輩―が巫女の気持ちに気付き、娘の地位が危ういと考えた彼女は巫女を殺そうと考える。


青年はその事実を知り、巫女と二人で遠くの地に行こうとする。


二人は脱出にこそ成功するものの、未だに病が完治していない青年は道中で亡くなってしまい、巫女も悲しみの余り共に死んでしまう。


という物語だ。


勇也先輩は、青年の親友である上流貴族で、青年と巫女の逃走の段取りを立てて助ける役だ。


光唆は平民の子だったが、青年の父に拾われて、青年に仕えている少年だ。


あたしは…青年を密かに慕っている侍女だ。



< 154 / 385 >

この作品をシェア

pagetop