生徒会の恋愛事情
「あたしこそ全然ですよ!
小百合先輩、誰からそんな話を聞いたんですか?」
「弥君が洗い物してる時に教えてくれたの。
沙羅ちゃんが本当に上手だから、一回目の読み合わせから本気で演じてしまったって言ってたわよ。」
小百合先輩の言葉に、あたしの体内温度が上がっていく。
弥先輩の台詞が頭を過る。
巫女に向けられた愛の言葉…確かに巫女に対する想いが籠ってた。
「弥君を本気にさせるなんて、沙羅ちゃんやるね!」
「本当よね。
私はまだ見てないんだけど、華羅ちゃんが帰って来るまで、巫女は沙羅ちゃんにお願いしてもいい?」
「交代じゃないんですか!?」
てっきりそうだと思ってた。
だって小百合先輩こそ巫女の役が似合いそうだし、台本書いた香里奈先輩の巫女も見てみたい。
そう言うと、あたしがイメージ通りの巫女だと香里奈先輩に言われた。
小百合先輩には、主演はもう懲り懲りよって言われた。
確かに侍女の役って一番台詞少ないから、一番負担なくて、あたしが一番適任な気もする。
でも…明日からもあの心臓に悪い時間がやってくるのか…
そう思うとやっぱり不安になる。
「明日は朝から読み合わせだから、今日はもう寝よっか。」
小百合先輩がそう言って電気を消す。
あたしは目を瞑って寝ようとした。
だけど、演技中の弥先輩の顔を思い出すと、なかなか寝付けなかった。