生徒会の恋愛事情


「あ!
すいません!
またぶつかっちゃって!」


「気にしないでいいよ。
暗くて見えない?
ランプ持つ?」


「いえ!
弥先輩が持ってて下さい!」


今のあたしが持ったら、確実に落とす。


だってあたしの手足…


「沙羅ちゃん?」


「きゃっ!」


殆ど目の開いてないあたしはまた弥先輩にぶつかる。


でも今度こそ何かにぶつかったに違いないと思ったあたしは、更に身体を震わせる。


「沙羅ちゃん、もしかしてかなり怖い?」


あたしがぶつかったのは弥先輩だと分かる。


謝らなきゃいけないのに、あたしは頭を縦に振るので精一杯だった。


「そうだったんだ…ごめん。
気付けなくて。」


あたしの頭を何かが優しく撫でる…弥先輩の手だ。


そしてあたしの右頬が急に温かくなる。


「沙羅ちゃん、怖くないから顔上げてごらん?」


弥先輩の優しい声が降ってくる。


怖いあたしは、少し前の方を見るだけしか出来なかった。


でも、弥先輩がかがんであたしの顔を覗き込んでくれた。



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