生徒会の恋愛事情


台本の読み合わせで強くなったはずの心臓が、壊れだしたかのようにバクバクしてる。


このままだと、あたし自身が壊れてしまう。


そう思えた。


「戻ろうか。」


「え?」


「幸いにも一本道だったから、このまま折り返せば皆がいるところに戻れる。」


「で、でも…課題はどうするんですか?」


道の行き止まりにある物が置いてあるから、それの写真を撮って帰ってくる。


それが肝試しの課題だった。


「そんなの構わないよ。
ただの娯楽だし、クリアしないと死ぬわけじゃないから。」


だから戻ろう。


弥先輩はそう言って、あたしから離れていく。


でも完全には離れなかった。


彼の右手が、あたしの左手をギュッと握る。



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