生徒会の恋愛事情
「小百合先輩、香里奈先輩。」
辛い事がないわけじゃない。
寧ろ、切なさで胸が痛くてしょうがない。
でもそれは、弥先輩が好きだから。
弥先輩はあたしに、優しい気持ちや温かさをくれる。
「あたし、心が暖かいです。」
すぐに消えそうで不安定。
そんな印象を持つような温もりだ。
でもそれは消える事なく、あたしの心の中にあり続けた。
そしてちゃんと分かった。
この温もりは、あたしの胸の中にずっとあったんだ。
あたしが弥先輩と出会ってからずっと…
「その温かさがね、幸せの証なんだよ。」
香里奈先輩は言葉を続けた。
「恋愛って思い通りにならない事が多いから辛いけど、でもその辛さは、幸せがもたらしてくれるものなんだよ。」
「幸せが?」
あたしが聞くと、今度は小百合先輩が答えてくれた。
「ちょっとでも幸せがないと、悲しみや辛さは認識しずらいものよ。
もし沙羅ちゃんがその人の事で悩んで辛い思いをしてるなら、それぐらい沙羅ちゃんが彼を好きで、彼に幸せを貰ってるって事じゃないかな。」