生徒会の恋愛事情
泥棒じゃなかった。
どころかよく知ってる人。
平井家次女、平井華羅だ。
「そっか、由羅お姉ちゃんは起きてるだろうって思ったのに…って沙羅?
そのフライパンどうしたの?」
「どうしたのじゃないよ!
いきなりドアが開く音して…泥棒かと思ったじゃん!」
「ああ!
なるほど!
ごめんごめん。
予定よりも早く帰る事になったから、皆をビックリさせようとしたんだけど…凄い事になちゃったのね。」
「そうだよ…怖かったんだから…」
あたしはフライパンを抱えて泣き出した。
本当に、どうなる事かと…
「ごめんね?
まさか沙羅がそんなに逞しくなってるとは思わなかったよ。
二人が寝てるから、自分ひとりで頑張ろうとしたの?」
あたしは頷く。
声は出てなかった。
「そっか。
沙羅がこの家守ろうとしてくれたんだね。
ありがとう。」
そう言って華羅お姉ちゃんは、いつもみたいにあたしを慰めてくれた。
「本当にごめんね?
あと、ただいま。」
「おかえりなさい。」
やっとこさ真面に言葉が話せるようになったあたしだったが、その一言を言ってからまた泣き出した。
そしたら由羅お姉ちゃんと美羅も起きてきて、我が家は更に大騒ぎになる。
翌日の朝から大家さんがやってきて、お叱りを受けたのは言うまでもない。