生徒会の恋愛事情
「入ってきて!」
あたしが促すと、してやったりという顔の華羅お姉ちゃんが入ってきた。
「華羅姉!?」
「まだ9月になったばかりだよ!?」
皆口々に驚き言葉を並べる。
クールな聖也さんでさえ、目を丸くしていた。
慌ただしい雰囲気だったが、これでは仕事が出来ない。
弥先輩は、華羅お姉ちゃんに挨拶してもらおうと言った。
そこで生徒会室はちょっと落ち着いて、華羅お姉ちゃんはちょっと緊張して、あたしはそんな華羅お姉ちゃんを見守っていた。
「留学終了期間が手違いで長めに設定してたみたいで、それで急遽帰って来る事になりました。
なので、今日から生徒会にも復帰します。
忙しい中、留学に行かせてくれて、ありがとうございました。
皆さんには迷惑かけてしまって、本当に申し訳なかったですが、留学に行って多くのことを学びました。
行って本当に良かったです。
留学で学んだ事が生徒会で活かせるかは分かりませんが、これからは生徒会に全力で取り組むつもりです。
ブランクがあるので、迷惑かける事もあると思いますが、また宜しくお願いします。」
華羅お姉ちゃんが一礼して、その場は落ち着きを取り戻した。
「華羅、おかえりなさい。
留学が楽しかったようで何よりです。
…帰ってきて早々申し訳ないですが、今の生徒会は非常に忙しいので、3件程お願いしたい事が…」
華羅お姉ちゃんは仕事を頼まれると、留学行く前みたいに、いや、もっとキリッとした顔で仕事に取組み始めた。
それが、あたしには凄くかっこよく見えて、あたしも頑張ろうと思った。
「じゃあ華羅お姉ちゃん、体育委員の先生にこの資料持っていってね。」
「了解!」
華羅お姉ちゃんが職員室に向かう。
それぞれが、自分の役目を全うしていた。
また、この日常に戻ったのだ。
だがそれは、新しい日々の始まりでもあった。