生徒会の恋愛事情
「ああ、ごめん。
僕が止まってたら、沙羅ちゃん帰れないよね。」
ごめんともう一度謝って、弥先輩はもう一度歩き始めた。
「い、いえ…」
弥先輩の後ろをついていくように、あたしも歩きだす。
こうやって歩き始めると、さっいドキドキしたのが馬鹿みたいに思えた。
いや、弥先輩と二人になれてドキドキしてるっていうのは、先輩達と別れてからずっとなんだけど…
ありえないのにね。
弥先輩があたしのこと好きとか。
ありえないのに…弥先輩が好きなのは誰か知ってるのに…
どうして、こう期待しちゃうかな?
自分を諌めるように思うも、上手く飲み込めない。
好きでいるだけで十分、それ以上は望まない。
だから、余計な希望を持たない。
そう決めたのに…
あたしは鞄を握る手の強さを強めた。