生徒会の恋愛事情
そうして歩き続けるあたしは、地面を見ていた。
前なんて向けなくて。
そしたらね、誰かに肩を掴まれたの。
驚いて思わず顔を上げると、同じように驚いている弥先輩がいたの。
「沙羅ちゃん、何処まで行くつもり?」
「え?」
気付いたら、家の前まで来ていた。
「あ…すいません。」
弥先輩に言われてなかったら、何処まで行っていたのだろうか。
考えたのはそんな事、でも思っているのは違う事。
「沙羅ちゃんも無理しないで。
…疲れてるとは思し、苦労させて申し訳ないけど、あと二週間したら少しは楽になれるから。」
「…はい!」
あたしは頷いてから、弥先輩に「さようなら」と言った。
これ以上一緒にいると、なに考えているかばれそうで…怖くなった。
だから、弥先輩の顔もちゃんと見ずに、玄関まで走る。
急いで家の中に入ると、あたしは心臓の前で手を重ねて、ゆっくり息を吐いた。