生徒会の恋愛事情
「人の心配してる場合ですか!?」
華羅お姉ちゃんの後ろで、柱を支えている弥先輩がいた。
さっき倒れてきた柱だ。
…じゃあ、華羅お姉ちゃんの上にあるのは?
「華羅!!」
聖也先輩が走ってきて、華羅お姉ちゃんの背中に乗っているものを取る。
そこから、キラキラした破片が零れる。
あたしが持っていた鏡だ。
「華羅!」
鏡を退けた聖也先輩が、華羅お姉ちゃんを抱き起こした。
その時も、破片が幾つかぱらぱらと落ちる。
そしてあたしは、思わず悲鳴を上げた。
華羅お姉ちゃんの白い体操服に、鏡の破片が刺さっている。
ところどころに赤い斑点が広がっていた。
背面を鏡で打撲し、破片で怪我をしたのだ。
「華羅お姉ちゃん!」
あたしは上履きで破片を踏みながら、華羅お姉ちゃんに近付く。
その間に、色んな音が聞こえた。
準備を一旦中止すだと指示する小百合先輩の叫び声、保健室へ走る勇也先輩の足音、手伝ってくれた子を落ち着かせる香里奈先輩の声…沢山の音が入り交じる。
それは、あたしにとってまさに地獄絵図であった。