生徒会の恋愛事情
そしたら、弥先輩が声を掛けてくれた。
「沙羅ちゃん、大丈夫?」
「…はい。」
なのに心はついていけてなくて、返事も空虚なものだった。
「すいません…混乱してますよね。
いきなりこんな事になって。
華羅のことなら大丈夫ですよ。
大怪我してるように見えますけど、命に別状が残る程のものではありませんし、意識もありますから。」
その言葉が、空っぽのあたしの心を少し動かした。
「華羅お姉ちゃん、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。」
弥先輩はあたしを慰めるように、優しく頭を撫でてくれた。
その温かさに気付いた瞬間、あたしはやっとこさ落ち着いてきた。
さっきまで頭に何も入ってこなかったのに、少しだけ周りが見えるようになってきた。
扉が開いて、外の光が入ってくる。
一緒に中に入ってきたのは、勇也先輩と蛇持先生だった。
先生は舞台の方に上がってくると、華羅お姉ちゃんの方に向かってきた。
そして口を開く。
「鏡の破片って結構危ないから、着替えた方が良いし、傷の様子も見たいし…犬山のお兄ちゃんは平井の姉ちゃんを保健室まで運んでくれる?」
「分かりました。」
聖也先輩は、華羅お姉ちゃんを抱き上げて、保健室に向かう。