生徒会の恋愛事情


…あたし、弥先輩のこと何も分かってないな。


あたしは心の中で呟いた。


弥先輩が大きいものを背負っているものは知っていた。


将来的に日本を動かすような凄い人になるんだろう。


だから小さい頃から厳しく育てられたんだろうなとか、普通の高校生が知らないような事を沢山勉強しているんだろうなって。


でもまさか、生徒会でも重圧を感じていたなんて…


あたしでも生徒会はしんどいのに、弥先輩は…どれだけしんどいんだろう。


ううん、弥先輩だけじゃない。


他の先輩達だってそうだ。


弥先輩みたいに、“会長”という肩書は今なくてもそれぞれに重いものを抱えているんだろう。


だけど、あたしは何も背負ってなかった。


家でも学校でも、何の覚悟もなかったんだ。


そう思ったこの時、あたしは生徒会役員としての自信さえも失いかけたんだった。



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