生徒会の恋愛事情
「なあ弥、やろうぜ。」
そう言ってくれたのは勇也先輩だった。
「確かに足のこと考えたら、沙羅にはかなり負担かけることになる。
でも、そんな大した怪我じゃないしさ、当日の上演回数を減らして、痛み止の注射打ったらどうにかなるだろう?
それに沙羅が言った通り、毎年生徒会の上演を楽しみにしてくれている人が沢山いるんだ。
期待に応えるのも俺らの仕事だろ?」
「…二人の言う通りです。
でも、だからって簡単に返事するわけにはいきません。」
弥先輩にそう言われた瞬間、あたしは諦めかけた。
弥先輩が会長だから、弥先輩が頷かないと進めない。
弥先輩が心配してくれてるのはあたしの怪我の事だから、これ以上強く主張するのも憚られた。
だからこそ、あたしは次の瞬間ビックリしたの。
「明日にリハーサルやります。
その時に代役の二人が役をこなせていて、かつ沙羅ちゃんが動けそうなら、文化祭で上演しましょう。」
あたしは何度も瞬きした。
チャンスが与えられた。
「ただし、2日に渡る文化祭で1日3回上演するところを、1日1回にします。
舞台の調整は私が今から先生に掛け合います。
あと、沙羅ちゃんは今からリハーサルまで安静にして、台本を読み込む事に集中して下さい。
間違っても他の仕事はしないように。」
「…ありがとうございます!」
あたしは深々と頭を下げた。
私がやらないといけない事が見つかった瞬間だった。