生徒会の恋愛事情





僕はまた何も言えなくなった。


「僕個人と言われましても…」


「あー!
また素直じゃない!
神崎が平井の妹好きなの知ってるんだから!」


知ってる…か。


そんな事、本人が寝てる傍で言う事ではない気がするが。


「そうだとしても公私混同した判断するのはやめて下さい。
劇だけでなく、生徒会は役員全員で運営しているんです。
生徒会の代表として僕に言ってくれるなら納得できますけど、違うならちゃんと全員に言うべきです。」


ああ、僕は何言ってるんだ。


何が生徒会の代表だ、沙羅ちゃんが怪我して、痛がっていて、あんなに焦ったのは何処の誰だ。


「先生のお心遣いはありがたいです。
でも僕は…言いたい事言えるような立場じゃない事を今思い出しました。
失礼な事ばかり言って申し訳ありませんでした。
あと、沙羅ちゃんが舞台に立てるように治療して下さってありがとうございました。
おかげで今年も無事に上演できました。
では、僕は徒会に戻ります。
沙羅ちゃんのこと、お願いします。」


その後、先生が何か言っていた気がしたが、僕は聞かずに出て行った。


そして保健室から離れて、生徒会室に戻る。


まだ舞台の後片付けが終わっていないのか、生徒会室は誰もいなかった。


そんな生徒会室で、僕は考えた。


そうだ僕は…恋愛なんてしている場合じゃなかった。


忘れていた、自分はただの高校生じゃない。


僕は大きく息を吸って、それを全て吐き出した。


そして生徒会室を出た。


生徒会の仕事をするために。



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