生徒会の恋愛事情
「あ!
そういえば菖蒲ちゃんって、生徒会の舞台出てたよね!!」
誰かの声がする。
そうだ、菖蒲ちゃん…あの時見てたんだ。
「うん!
色々あって一緒に舞台やったよ!」
「ねえねえ!
あのシーンは台本通りなの?
平井ちゃんと会長さんがキスしたのは?」
「うーんと、厳密には台本通りじゃないよ!
でも初日と一緒だったら、二日とも観に来てくれるお客さんに悪いから、最後だけちょっと変えようってなったの。
あ、あのシーンね、キスしてたわけじゃないよ!
どうやったらそういう風に見えるかっていうのを本番前に練習して、あたかもキスしたように見せてるだけ!」
え…
あたしは自分のことなのに目を疑った。
「えー!
そうなの!!」
「やっぱりキスしたわけじゃないんだ!」
口々から漏れる様々な声、安堵もあれば残念そうなのもある。
「そうそう。
でさ、ちょっと沙羅ちゃんに用事あるんだけど、沙羅ちゃん付き合って!」
菖蒲ちゃんは女子高生包囲網からあたしの手を掴み、輪の外へ連れ出す。
もはや王子様にしか見えません。
あたしはその後に菖蒲ちゃんに連れられ、生徒会室に向かった。