生徒会の恋愛事情
「華羅お姉ちゃんは何も気にせず、楽しんできて。
あ、お土産はよろしくね。」
「分かった。
あとのことはよろしくね。」
「うん!
いってらっしゃい!!」
華羅お姉ちゃんを見送ったその日から、生徒会室は少し広くなった。
聖也先輩と、小百合先輩と、光唆とあたし…二年生抜きで何かするのって初めてで、なんか新鮮だった。
でも…やっぱりちょっと寂しいな。
勇也先輩がいないと、妙に静かで
香里奈先輩がいないと、自分達が高校生であることを忘れてしまいそうで
華羅お姉ちゃんがいないと、目標を見失ってしまう感じで
弥先輩がいないと…
「沙羅?
大丈夫か?」
「え?」
「何かぼーっとしてるぞ。
体調悪いのか?」
「そんなの全然。
ちょっと考え事してただけ。」
やめよう、こんな事考えるの。
…皆で何かやってる時に考える事じゃない。
あたしは首を振って忘れようとする。
それでもあたしは、いつも真剣に生徒会と向き合っている弥先輩の席を見てしまう。
その席が今日は空いている事がとても不思議で、そして…とても寂しく思えたんだ。