生徒会の恋愛事情


アパートの裏には、黒くて長い車があった。


「あの…あたしこれから何処行くんですか?
っていうか、貴方誰ですか?」


「これは申し訳ございません。
私は…」


「いいわ。
私が伝える。」


車から女の子が出てきた。


まだ中学生ぐらいだろう。


赤ずきんちゃんみたいな赤いワンピースを着ている。


「初めまして、平井沙羅さん。
急に驚かせてしまってごめんなさい。
私、桜ノ宮絵恋と申します。」


「桜ノ宮…絵恋さん?」


「はい。
彼女は蘭子さん。
私の世話係の女性です。」


蘭子さんと呼ばれた女性が、あたしに向かって再度頭を下げる。


あたしも頭を下げた。


「あの…それで、何の用事でしょうか?
貴方達はあたしの事を知っているんですよね?
あたしは…初対面だと思っているんですけど。」


「ええ。
お会いしたのは今日が初めてです。
…私の名前は聞いた事あるかなと考えましたけど…ご存じないという事は、私の話は聞いた事がないのですね。
それなら余計に意味が分からないとは思いますけど…とりあえず、この車に乗っていただけませんか?
それからでしか、お話できませんの。」


「…何処に行くんですか?」


「…何処に行こうかしら。
実は決めていませんの。
でも心配なさらないで。
貴方を傷つけるような事は致しません。
今日中にご自宅までお送り致しますわ。
お約束致します。
ですから…どうか一緒にドライブにしてくれないでしょうか?」


ドライブ?


誰か分からないけど…こんな車乗ってるし、喋り方お嬢様だし、断ってもまた…


待って…お嬢様って事は…生徒会の誰かの知り合い?



< 291 / 385 >

この作品をシェア

pagetop