生徒会の恋愛事情
「沙羅ちゃん、とりあえず車に乗って帰ろうか。
もう沙羅ちゃんの家には連絡入れたけど、華羅たちが心配している。」
「はい…」
なんとなく気まずい雰囲気が流れる。
あたしは何も話さずに、弥先輩の後ろをついていった。
車に乗ると、すぐにエンジンがかかり、車が動き出す。
「沙羅ちゃん、もしこれからこんな事があっても、ついていっちゃダメだから。」
「ついていくって…」
「絵恋のことだから、沙羅ちゃんを試すために、わざと名前言わなかったんだろ?
行先分からないって華羅も言ってたし。」
「絵恋さんのお名前は、車乗る前に聞きました。
行先は…何処に行くか決めていないって言われて。
あと…絵恋さんは試すっていうか…あたしがどんな人か知っておこうとしたっていうか…」
「…そんなとこだろうね。
絵恋が考えている事なんてだいたい分かる。」
「仲良いんですね。」
「仲は良い方だと思う。
絵恋が生まれてから今年の春まで、ずっと一緒に住んでたんだ。
それよりも、何でそんな得体の知れない人についていったの?」
「得体の知れないって。
あたしに話があるって言われて、その時に、これ絶対に逃げられないって思って。
それでどうしようもないですし…行かないといけない気がしたんです。」
「行かないといけないって…だからって、どうして誰かに相談しなかったの?」
「えっと…相談している間がなかったというか。
とりあえず、華羅お姉ちゃんには出かけるって伝えたんですけど…」
弥先輩の顔が険しくなる。
これはかなり怒ってる。