生徒会の恋愛事情
「ってわけで、用事ないって言ってたし、お願いね?
大丈夫、今度ちゃんと埋め合わせするから!
じゃあまたクリスマスにね!」
香里奈先輩が鞄を持って走り出す。
「沙羅、弥先輩、悪いけどお願いします!
じゃあ俺もこれで!」
光唆も走って行ってしまった。
気付いたら、生徒会室の中は弥先輩と華羅お姉ちゃんとあたしだけだった。
「華羅お姉ちゃん、悪いけど先に帰っといて。」
「暗いから気を付けて。」
そう言うと、華羅お姉ちゃんはため息を吐く。
まるで呆れられたみたいで、あたしは瞬きを数回した。
「2人とも頭良いくせに鈍いよね。
香里奈と光唆にちゃーんと感謝するのよ?
あと沙羅、今日は最後の見回りだから遅くなるとと思うって、由羅お姉ちゃんに言っとくから。
弥、25日と沙羅をよろしくね。
じゃあ、お仕事はきちんとする前提でごゆっくり。」
華羅お姉ちゃんは数回手を振って、そのまま生徒会室を後にした。
ドアが閉まった瞬間、弥先輩の右手があたしの頭の上に置かれた。
それが合図のようにあたしの顔は赤みを帯びる。
「香里奈も光唆君も、気を遣ってくれたみたいだね。」
「え?」
あたしはそのままの状態で上を向いた。
「クリスマスパーティーは2人でじっくり話せないだろうし、今日は今年最後の2人きりを楽しんでって事じゃないのかな?」