生徒会の恋愛事情


「あ…」


気付いたら、余計に顔に熱が集中する。


生徒会役員としてじゃなくて、弥先輩とあたし…恋人としての2人の時間を作ってくれたんだ。


香里奈先輩、光唆、華羅お姉ちゃん、ありがとうございます。


今、ちょっと恥ずかしいけど、嬉しいです。


「ねえ沙羅ちゃん、今日すべき生徒会の仕事は、見回り以外終わったって思っているんだけど、間違いないよね?」


「はい…」


「見回りの時間まで、あと数時間あるよね。」


「そうですね…少し早めに始めたとしても、2時間以上はあります。」


「皆のお言葉に甘えようか。」


そう言って弥先輩は、後ろからあたしを抱きしめる。


「弥先輩!」


「大丈夫、カーテンもドアも閉めてるから、誰にも見えないよ。」


「あ、あの、それはそうなんですけど…」


そういう意味じゃない。


心の準備が出来ていないのに抱きしめられたから、パニックになっているだけ。


ギュッとされて、こめかみに弥先輩の頬があたっている事に慌てているだけ。


寒い冬のはずなのに、急に温かくなって、びっくりしているだけ。



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