生徒会の恋愛事情
でもこの気持ちを言葉にする事が難しくて
「…恥ずかしいです。」
「恥ずかしがる必要ないのに。」
「だって、急に抱きしめられたら…」
「じゃあ、言ってからならいい?」
弥先輩はあたしを一旦解放する。
「沙羅ちゃん。」
名前を呼ばれて、弥先輩を見上げる。
弥先輩は背も高いし、背筋もピシッて伸びてるから、空を見るように上を向くしかないの。
「…抱きしめようと思ったけど、ごめん、気が変わった。」
真っすぐに見つめられて、あたしの体は硬直する。
真剣な眼差しと、くだけた言葉と、いつもの声
アンバランスなのに調和して、あたしの心を離さないんだ。
「気が変わったって…」
弥先輩の左手が、あたしの頬を撫でる。
顎まで来たら、今度は両手で頬を包まれる。
その行為に、今度は声を奪われたように、何も言えなくなる。
「キス、してもいいいかな?」