生徒会の恋愛事情
多分、今日みたいにゆったり甘い時間は過ごせない。
それでもいい。
弥先輩があたしのために時間を作ってくれる事が、何よりも嬉しいんだ。
「弥先輩。」
「何?」
「嬉しいです。
ありがとうございます。」
そう言ってあたしは、自分から弥先輩に抱き着いた。
再び弥先輩の体温を感じる。
この時間がずっと続けばいいのにと思い、叶わない夢に溺れていく。
そしてあたしは思うのだ。
いつまでも弥先輩と一緒にいられますように。
家柄なんて大層なものとは縁がないけど。
弥先輩は、この生徒会にいるあたしが注目されていると言っていた。
それなら、あたし、高校卒業後も色んな事頑張って、今注目してくれてる人達にも認められるような存在になりたい。
それで、叶うなら弥先輩のお嫁さんになりたい。
あたしはそんな遠い未来に、ううん、叶うか分からない夢に浸りながら、幸せを目一杯味わった。
今日がこの一年間で一番幸福な日だと自覚したのは、家に帰ってからの事であった。