生徒会の恋愛事情
弥先輩のお父さんの挨拶が終わると、会場はまた明るくなる。
「華羅お姉ちゃん、弥先輩ってお父さんの傍にいるんじゃないかな?
…華羅お姉ちゃん?」
華羅お姉ちゃんは何処を見ているやら、全然あたしの話を聞いていないようだ。
あたしは華羅お姉ちゃんの目線を追う。
そこには、正装した聖也先輩がいた。
だけど遠いし、大人と話していてる。
あたし達が話しかけれる状況ではなかった。
あたしはそれを見て思ったのだ。
弥先輩もきっと同じだと。
ここは学校ではない。
子供の世界じゃない。
圧倒的に大人、それもお金持ちが多いのだ。
今まで弥先輩達を探すのに夢中で、大人達の顔なんて気にしていなかったけど、テレビや新聞で見た事のある政治家や芸能人、一流企業の社長なんかもいる。
庶民は光唆と華羅お姉ちゃんとあたし以外はいないのだろう。
そう思うと、少し居心地が悪いような気がした。
「よし、沙羅。
せっかくだから美味しい物を食べて帰ろう。」
「え?」
今度はあたしが話を聞いていなかった。
「ほら、あたし達に社交界とか厳しすぎるよ。
でもせっかく呼んでもらったし、美味しいもの食べて、キラキラした雰囲気味わって帰ろう。」
華羅お姉ちゃんはスッキリとした顔で、あたしを見ていた。