生徒会の恋愛事情
「いや、生徒会で頑張る一般枠の姉妹がいると聞いて、どんなお嬢様片だろうと楽しみにしていましたが、お二人ともこんな立派な方とは思いませんでしたよ。
なんて頼もしい。
来年に娘がここでやっていけるのか心配ですよ、流石は…」
嬉しい言葉が詰まる。
流石は、何だろう。
「そろそろ出てきたらどうだ。
せっかく2人も来てくれたんだ。」
小金井さんはソファから立ち上がると、廊下に繋がるドアを開ける。
向こうには女の人が立っていた。
「…お母さん?」
そこには、長年会話していない母親の姿があった。
この前のパーティーで見掛けたのと同じ人…やはりお母さんだったというのか。
「お母さん…なの?」
華羅お姉ちゃんも目を丸くして動かない。
華羅お姉ちゃんの問いかけに、その女の人は小さく頷いた。
「久しぶりね、華羅、沙羅。」
それは間違いなく母の声だ。
昔より良い暮らしをしているのか、昔よりも張りというか、元気のある声をしている。
でも、その声は少し震えていた。
最後に家を出た時と同じ、泣きそうな声だった。