生徒会の恋愛事情


頭の良い華羅お姉ちゃんでさえ、戸惑ってまともに話せずにいる。


あたしは似た人を見たと思っていたから、少し冷静でいられるけど、それでも何て言ったらいいのか分からなかった。


「ごめんね、驚くよね。急にこんなところに現れるなんて。
お母さん今ね、小金井って苗字なの。
お父さんと別れた後に、出会って…」


「ちょっと待って。」


華羅お姉ちゃんも声を震わせながら言う。


「待って、お母さん再婚してたの?
いつ?
ずっと音信不通で連絡出来なくて、引き取ってくれる親戚もいなくて、4人でがむしゃらに生きていたのに、こんな裕福な家の奥さんやってたの?」


華羅お姉ちゃんの中にくすぶっていたものが爆発して、泥々とマグマのように流れ出てくる。


言い過ぎだとは思わなかった。


辛くなかったなんて言えないから。


長女だからってずっと気を張って生きてきた由羅お姉ちゃんも、親に甘える事を知らずに育った美羅も、今この場にいたら同じ事を言っていたと思う。


目の前にいた母は、昔よりも綺麗だ。


使っている化粧品も来ている洋服もきっと良いものだし、昔はつけていなかったネックレスやピアスがキラリと光っている。


今も昔もスレンダーだが、昔は窶れてガリガリだったのが、今は健康的だ。


別人と言っても差しつかえない。


あたしも華羅お姉ちゃんも、今までにないぐらいの反発していた。



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