生徒会の恋愛事情
先程とは全く違う種類の緊張感が走る。
あたしも華羅お姉ちゃんも、不信感がたっぷりこもった眼差しをお母さんに向けている。
お母さんはその視線に少し萎縮しているのか、肩身が狭い思いが顔に出ている。
小金井さんは、そんなあたし達を心配そうに見ている。
「…まず、沙羅さんの質問に応えようか。」
小金井さんは咳払いすると、穏やかな声音で話を始める。
「知ってて呼んだのか、と言っていたね。
半分はそうだ。
もっとも、最初にパーティーで出会った時は知らなかったよ。
来年に娘が入るであろう生徒会と、そこにいる君達への興味だけで話を進めた。
それは信じてほしい。
妻に…咲羅さんにこの話をしたのは去年の大晦日だった。
神崎のパーティーで面白い子を見つけたから、一度会って話をしたいとね。
そこで沙羅さんと華羅さんの名前を言った時の咲羅さんの顔といったら…」
「驚いたわ。
変わった生徒会があるという話は聞いていたの。
お金持ちの子と、普通の子達で運営される生徒会があるって。
でもまさか、華羅と沙羅が、それも一緒に所属しているなんて思ってもみなかったもの。」
「確かに、犬山のように名門一家で兄弟一緒にというのはあるが…一般枠でというのはとても珍しい。
話を戻そう。
名前を出した時の咲羅さんの様子がおかしかったから、理由を尋ねた。
知り合いなのかとね。
そうしたら…実の娘だというじゃないか。」
それは驚くだろう。
会っていなかった娘のことを、こんな形で聞く事になるのだ。
「そこで考えたのだよ。
せっかくなら、今度顔を合わせてみないかと。
長年会っていないとはいえ、咲羅さんにとって2人が愛しい娘であるのは変わりない。
顔だけでもみていかないかと誘ったのだよ。」