生徒会の恋愛事情
後ろからパタパタとした足音が聞こえる。
肩を掴まれたので振り返ると、華羅お姉ちゃんが真剣な顔で立っていた。
「華羅お姉ちゃん…」
「沙羅、置いていかないでよ。
あたしも帰る。
ここ、何処かよく分からないけど、歩くなりなんなりして帰ろう。」
華羅お姉ちゃんは、あたしが忘れてきた荷物を優しく手渡してくれた。
「…ごめん、迷惑かけちゃって。」
「全然。
あたしも途中までは楽しかったっていうか、凄く良い機会だって思ったけど、あの人出てきてから帰りたくて仕方なかった。」
あたしは華羅お姉ちゃんと並んでマンションを出る。
少し離れたところで、マンションを見上げた。
別世界の高い高い場所、弥先輩達みたいな凄いお金持ちのいる世界
あたしも生徒会に入って、そういう世界の人と僅かながら関わりを持った。
でもお母さんは、あたし達なんかよりも早く、どっぷりとその世界に浸かっていた。
あたしだってお母さんに苦労してほしいわけじゃない。
でも…一人だけ幸せな世界に入り浸っていた事、それでいて母親面して会いにきた事、どれもあたしと華羅お姉ちゃんの神経を逆撫でしたのだ。
「沙羅、帰るよ。」
「うん。」
お母さんはどんな気持ちで今日顔を出したのだろう。
胸を張って、堂々と会えるような感じだったのだろうか。
色んな疑問を抱えたまま、あたし達は家に帰った。