生徒会の恋愛事情
「勇也の言う通り、俺たちは何も怒っていない。
華羅達が怒るのも無理のない状況だったと思うし、家族の問題がデリケートなのも分かっているつもりだ。
それに、少なくとも母親が出てくるまでは小金井の社長を唸らせるような受け答えをしてきたのだろう。
よくやったじゃないか。」
聖也先輩がそう言ってくれた。
「聖也君の言う通りよ。
多分、小金井さんだってお母様の事で2人が怒ったからって、幻滅していないわ。
私、あの方とは面識あるけれど、悪い方じゃないわ。」
「あたしも面識あるけど…そういえば、小金井さんの今の奥様って後妻さんだったわね。
まさか2人のお母さんだなんて思ってもみなかったけれど。」
そりゃそうだろう。
顔だけで言うと、一番母親似なのは由羅お姉ちゃんだで瓜二つだ。
美羅もどちらかと言うと母親に似ている。
あたしは半々と言われ、華羅お姉ちゃんに至っては完全なる父親似だ。
見ただけでは分からないだろう。
「僕は小金井さんとは挨拶ぐらいしかした事はないけど…逆に奥様の方とは何度かお話しした事がありますよ。」
場の空気が変わった。
あたし達だけでなく、全員が弥先輩の方を見た。
「弥先輩、本当ですか?
あの人と何回も話した事があるんですか?」
「はい。
咲羅さんですよね。
うちがやっている慈善事業の様子を見に来られた事がありました。」
「慈善事業?」
華羅お姉ちゃんの問いに弥先輩は頷いた。
「はい。
海外の貧しい子供たちの支援をするプロジェクトでした。
熱心に色々と見ていましたよ。
その時に彼女はこう言っていました。
日本でこういう事業をやりたいと。
小金井さんに家の子は全員前の奥様が産んだ子でしたし、僕も再婚とは知りませんでしたから、実子がいない分、そういう事に関心が高いのだと思っていましたが…」