生徒会の恋愛事情
「ありがとうございます。」
あたしの目から涙が零れだす。
弥先輩の言葉に安心する事が出来た証だった。
弥先輩はあたしの目の前でしゃがみこむと、あたしの涙を優しく拭ってくれた。
「沙羅ちゃんも華羅も、生徒会の心配をしてくれてありがとうございます。
でも今はまず、落ち着いて家族の事を考えて下さい。
お母様の事は他のご家族には話されましたか?」
あたしと華羅お姉ちゃんは顔を見合わせる。
泣いているあたしの代わりに、華羅お姉ちゃんが答えてくれた。
「言わなかった。
言ったっても仕方ないよ。
気分悪くなるだけっていうか、もう他人同然だし、妹達にもこんな思いしてほしくないよ。」
華羅お姉ちゃんの声がいつもよりも冷たく感じる。
その冷たさは生徒会の温度を少し下げていた。
「でもよ、華羅姉…言った方が良くねえか?
なんだかんだ言って母ちゃんだろ?
美羅ちゃん達に嫌な思いさせたくないっていうのも分かるけど、どんな形であれ、母ちゃんが元気に生きてるのは分かったんだ。
それに…美羅ちゃん達だって、沙羅と華羅姉が家族の事でモヤモヤしてるの嫌だと思うぞ。」
「でも美羅なんか母親の記憶がないんだよ?
由羅お姉ちゃんがずっと面倒見て、沙羅と遊んで…あの子本当に知らないの。
今更知らなくていいよ…」