生徒会の恋愛事情
「…それは、どうなんでしょうか?」
弥先輩の声にあたしは顔を上げる。
とても真剣な顔をしていた。
あたし達の事を心配してくれているのがよく分かる。
「お姉様や妹さんにも、知る権利はあると思います。
知らせなきゃいけないと強制しませんが、伝えてみてはどうでしょうか。
お二方とも、常日頃とまではいかなくとも、多少なりとも、気になっているのではないでしょうか?
たとえ残酷な結末だとしても、知りたいと思う気持ちはあると思います。」
あたしだって前はそうだった。
ふとした瞬間、そういえばお母さんって何しているんだろうって考えていた。
それは多分、華羅お姉ちゃんも同じだ。
それでも知ればショックだったし、知りたくなかったとも思う。
家を出ていく時の姿をハッキリと覚えているからかもしれない。
「弥も、先輩達も、一緒に考えてくれて、ありがとうございます。
話聴いてもらって、色んな意見貰えて、凄く参考なりました。
生徒会の今後の事も、少し安心出来ました。
後の事をどうするかは、沙羅と話し合って考えてみようと思います。」
華羅お姉ちゃんはそう言うと、笑顔を取り戻して、卒業式の件を進めようと言った。
無理矢理空気を変えたのは誰もが分かった。
それでもダラダラしているのは良くないし、今他の先輩達の話を聞いたところで、あたし達の気持ちが変わらないのも分かっていたんだと思う。
その日の生徒会は何の滞りもなく終わった。