生徒会の恋愛事情


見回り当番の華羅お姉ちゃんは学校に残るけど、あたしも残って一緒に帰ろうかと考えていたら、弥先輩が一緒に帰ろうと言ってくれた。


あたしは頷くと、ゆっくりとした足取りで家に向かう。


「弥先輩、今日はご迷惑おかけしてすいませんでした。」


「あの事?
迷惑なんかじゃないよ。
それより、家族の事なのに僕達に話してくれてありがとう。
何の役にも立てなかったけど、相談事ら乗るから。
僕でよければ、いつでも一緒に考えるよ。」


「ありがとうございます。」


相談したい気持ちはある。


でも何を話したらいいか分からない。


あたしは華羅お姉ちゃんみたいに理路整然と話せないし、今の気持ちもぐちゃぐちゃで、言葉にならない。


それが現実だった。


でも、弥先輩が隣を歩いてくれるだけで、自然と心は落ち着いてきて、くすんでいた気持ちが少し明るくなる。


弥先輩の存在の大きさを改めて実感した。


「弥先輩…」


「どうしたの?」


「何でもないです。」


手繋いでほしいって言いたかったけど、ここは学校の外で、いつ誰に見られるか分からない。


だから言わずに胸の中に仕舞いこむ。


今一緒にいてもらえるだけでもありがたいんだから、我が儘は言っちゃいけない。



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