生徒会の恋愛事情


「お母さんは…私達の事忘れてたわけじゃないよ。
きっと会いに来られなかったんだよ。
ほら、セレブな奥様って忙しそうだし…でも成長した沙羅と華羅に会えて、会いたい気持ちが大きくなったんだよ。」


由羅お姉ちゃんは必死だった。


意外な反応にあたしと華羅お姉ちゃんは疑問を抱いた。


それが真実だとしても、必死になって庇わなくてもいいと思う。


あたし達が冷静に話せていないから、落ち着かせようとしているのだろうか。


「お姉ちゃん、無理しなくていいよ。
今まで一番色んな事を犠牲にしてきたのはお姉ちゃんだよ?
誰に教わるわけでもなく家事を覚えて、休日にはあたし達の面倒見てくれて、中学校のとき、バスケ部入りたかったのも、あたし知ってるよ?
でも由羅お姉ちゃん、諦めたよね。
部活してる暇ないって。
高校生の時もバイト漬けで、それで頑張って就職して…美羅も沙羅もあたしも感謝してる。
あたし達が怒ってるのは、お姉ちゃんのこともあるからだよ。」


華羅お姉ちゃんの言葉にあたしも美羅も頷いた。


由羅お姉ちゃんが一番怒っていい人だ。


いつも我慢してばっかりで、あたし達の事を一番に考えてくるのが由羅お姉ちゃんだ。


今ぐらい、我慢せずにです感情を露にしてほしい。


そう思うのに、由羅お姉ちゃんは頑なにお母さんを庇い続けた。


「そりゃ今まで辛い事も沢山あったけど…でもお母さんだって小金井さんって人のお家で順風満帆に過ごしてたわけじゃないよ。
後妻さんって大変だったと思う。
それでも、今立派に奥さんしてるの偉いじゃない。
慈善事業とかにも関心を抱いて…」


「お姉ちゃんが言ってる事も分かるよ!
違う視点で物事を見れて、凄いとも思う。
でも…本当にそう思ってるの?」


「思ってるよ。」


由羅お姉ちゃんは目を反らさなかった。


嘘を吐いていないのは、あたしも華羅お姉ちゃんも、美羅も疑わなかった。



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