生徒会の恋愛事情


「あたしが行くね。」


華羅お姉ちゃんが立った。


ノックしたって事は由羅お姉ちゃんじゃない。


華羅お姉ちゃんはかあったらダメだからと、玄関に近いあたしではなく自分が行くと行ったのだろう。


華羅お姉ちゃんは玄関まで行くと、一度振り返って頷いた。


あたしも美羅も頷いた。


華羅お姉ちゃんがドアノブを舞わすと、そっとドアを開けた。


冷たい風が一気に入ってくる。


「…弥?
どうしたの、弥が来るなん…どういう事?」


弥って単語が聞こえて、あたしは玄関を覗こうとしたが、華羅お姉ちゃんの声音が急に変わった事に驚き、リビングに引っ込む。


「突然の訪問、申し訳ありません。
話せば分かるといいますか、話さないといけない事があるので、お邪魔させてもらいました。
今上がらせてもよろしいでしょうか?」


弥先輩の声だ。


あたしはテキトーにくくっていた髪をきちんと整える。


部屋もあまり綺麗ではないが、短い時間でここまで片付けるのは不可能だった。


お邪魔いたします、の声が聞こえて10秒も経たないうちに、弥先輩がリビングにやって来る。


その後ろを華羅お姉ちゃん、由羅お姉ちゃん、そして…


「お母さん!?」


何故かお母さんまでやって来る。


お母さんは肩身が狭そうに、後ろに立っている。


驚いていると、弥先輩は穏やかな声でこう言った。


「答えあわせに伺いました。」



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