生徒会の恋愛事情


「華羅も沙羅ちゃんも、おそらく美羅ちゃんも知らないであろう事が分かりました。」


「神埼さん、そこは私から説明します。」


言葉を遮ったのは由羅お姉ちゃんだった。


由羅お姉ちゃんのしっかりとした大きな目が、あたし達の目を見ていく。


緊張が走る瞬間だった。


「美羅にも沙羅にも華羅にもずっと隠していたけど、渡しは時々お母さんに会ってた。
最近じゃなくて、お母さんがいなくなってからずっと。
私はそこでお母さんに華羅達の様子を話して、逆にお母さんからはお金を貰ってた。
3人が何処まで知ってるか分からないけど、お父さんって病気がちだったでしょう?
年収もかなり低めだったし、家族全員、お腹を空かさずに生きていくのはとても難しかった。
だからお母さんは家を出て働きづめの生活を送る事にした。
家に帰る時間があるなら働こうって考えで、その時本当はまだ離婚はしてなかった。」


さらに由羅お姉ちゃんの話は続くかと思ったが、お母さんが話すのを変わると言った。


空気が少し変わったのは、由羅お姉ちゃんに対する信頼をお母さんに抱いていないからだ。


本題に入る前に、お母さんはまずこう言った。


「華羅、沙羅、美羅…今までほったらかしにしていて本当にごめんなさい。
由羅も、3人の母親代わりをしてくれて本当にありがとう。
華羅も沙羅も、それに美羅も、あたしが今から話す事を信じてくれないかもしれない。
信用されるだけの事を今まで何一つしてこなかったから当然だと思う。
でも今から話す事に嘘は1つもありません。
だから聞いて下さい。」


お母さんは頭を下げた。


その姿勢には誠意が込められていた。



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