生徒会の恋愛事情
お母さんは昼間は高級ジュエリーショップで、夜は飲食店で働いていた。
ジュエリーショップは小金井さんのグループ企業で、小金井さんはそこに一般客を装って視察に来たと言う。
小金井さんはそこでお母さんが気に入った。
見た目でなく、接客態度や話し方、上品でよく働くところが良かったという。
小金井さんはお母さんのいるショップに何回か来たし、頼み込んで一緒にご飯だけでも食べてほしいと言ったそうだ。
その一緒にご飯を食べていた時に、小金井さんはお母さんの身の上話を聞いた。
病気がちなお父さんの事、幼い4人の娘の事、毎日どれくらい働いているか、それでも生活は楽ではない事、家族仲が悪いわけでもないのに家に帰っていない事、辛かった事を話したという。
当時のお母さんは友人と会う余裕なんてなく、弱音1つ吐かずに頑張ってたから、黙って話を聞いてくれる小金井さんに救われたそうだ。
その話を聞いた小金井さんは、結婚しないかとお母さんに話した。
小金井さんも、このままの生活を続けていたらお母さんが心身共に壊れてしまうと案じてくれたらしい。
小金井さんはこう言葉を続けたそうだ。
「結婚するとなると、咲羅さんには離婚してもらわないといけませんし、娘さん達と会う事も難しくなってしまうでしょう。
でも愛人では駄目だし、ましてやお友達だとしても、女性に無闇にお金を渡すのは良くないのです。
それこそ娘さん達を不用意に傷付けるし、何かあった時に咲羅さんを守れないのです。
分かって下さい。
ただ、私には咲羅さんにお小遣いのような形でお金を渡す事しか出来ませんが、咲羅さんの生活も、ご家族の生活も今よりは良くなるはずなんです。
考えてはいただけないでしょうか?」
お母さんはその言葉に驚きながらも、小金井さんの人柄を感じたという。
でもお母さんは断った。
どれだけ苦労しても家族といたい、そう思ったからだそうだ。