生徒会の恋愛事情


お母さんが心変わりしたのはその翌週の平日だという。


家族といたい気持ちに気付いたお母さんは、あたし達が起きている時間に家に帰ろうと思った。


離婚は嘘だったと正直に言い、帰れる時は帰ろうと思ったらしい。


そして家に向かう途中、お母さんはまだ生きているお父さんとあたし達の後ろ姿を見付けた。


でも声を掛けられなかったと、お母さんは涙ぐみながら言った。


通院していたお父さんを、あたし達た4人で迎えにいった帰りだと思われる。


お腹が空いたと、あたしや美羅がお父さんに訴えたそうだ。


でもお父さんは首を横に振った。


明日にお給料が入るから、それまでご飯を我慢してほしいと訴えたらしい。


その時お母さんはこう思った。


どれだけ働いても駄目だ、と。


お母さんはあたし達がいない間に、お父さんに会って話をしたらしい。


するとお父さんは泣きながらこう言ったそうだ。


「迷わずにその人のところに行ってくれ。
大丈夫だ、俺と咲羅の縁は切れても、由羅達との縁は切っても切れねえ。
お前に頼ってばっかりで、しかもこんな事言うなんてすげえ情けねえけど、今の俺に家族を守れねえんだ。
咲羅を一日中働かせてるのに、子供の面倒をちゃんとみてやれねなくて、皆咲羅が出ていく前より更に痩せて…頼む。
あいつらを守ってくれ。」


お父さんは顔をぐじょぐじょにしながら土下座したそうだ。



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