生徒会の恋愛事情
大切な人
その次の週、放課後にあたし達は小金井さんの家を訪ねた。
この前の事を謝ると、小金井さんは笑顔で許してくれて、どころか勝手に行動して悪かったと謝ってくれた。
確かにあの時は怒ったけど、小金井さんが会わせてくれなかったら、今こうしてお母さんと笑顔で話せなかったと思う。
それに小金井さんは、お母さんと月1で会う事を許してくれた。
感謝の言葉しか出てこない。
帰る時、小金井さんは車で送ってくれると言ってくれた。
3月の中旬、まだ夜は寒いし暗いからという事だ。
あたしと華羅お姉ちゃんは、今回はご厚意に甘えようと思った。
でも予定は変更された。
エレベーターで1階に降りた時、扉の向こうには見知った人が立っていた。
「弥先輩!?
どうしたんですか?」
駆け寄ると、弥先輩は安心した顔で答えた。
「流石に少し気になって、来てしまいました。
でも沙羅ちゃんの顔を見て安心しましたよ。
心配事も杞憂だったようなので、僕は帰りま…華羅、何処へ行くのですか?」
振り返ると華羅お姉ちゃんは遠く、手まで振っている。
「あたしはお母さん達と帰るから、弥は沙羅をよろしくね!
ゆっくり帰ってきて大丈夫だからね!」
お母さんも小金井さんもニコニコ笑っていた。
でも小金井さんは華羅お姉ちゃん達と違い、その笑みを浮かべたままこちらへ近付いてくる。