生徒会の恋愛事情
1歩進むと、そこは新入生の注目が集まる大舞台だ。
マイクの前に立ち、体育館全体を見渡す。
今年も新入生が色んな顔をして座っている。
皆も学校に入りたてで不安や緊張でいっぱいなんだ。
それに気付くと、しっかりしなきゃと前向きになれた。
あたしは一礼して、マイクを手にする。
「新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。
今年度生徒会の会長に就任しました、平井沙羅と申します。
私からは、今後の高校生活において、またその先の人生において大切にしてもらいたいものの話をしたいと思います。
暫くお付き合い下さい。
私は皆様に、周りの方々を大事にしてもらいたいと思います。
皆様はこれから沢山の方に出会うと思います。
今隣に座っている同級生、勉強を教えて下さる先生方、部活動の先輩に、アルバイト先の方など、色んな方に出逢うと思います。
そういった方々を大切にして下さい。
勿論、中には馬が合わない方もいらっしゃる事でしょう。
なかなか仲良く出来ない、苦手だと感じる瞬間もあると思います。
しかし、その方もその方なりに、自分の人生をしっかり歩んでいるのです。
皆様と同じだと思います。
何か一緒に活動する仲間というのは、色んな事を共に乗り越え、支え合える存在です。
どんな人にも合わせるというわけではなく、皆様自身もしっかりと意思を持ち、相手の考えも尊重し、知恵や意見を出し合っていく事で、物事は前へ前へと進んでいくものです。
心を閉ざしたままでは、上手くいくものも、そうはいかなくなるでしょう。
それはとても勿体ない事だと私は思います。
ですので、どんな相手でも、その人の事を考えて下さい。
相手の考え、大事にしているもの、信念、考える事によって、相手を大事にする事に繋がります。
それに加え、皆様の人生の糧になる事もあるでしょう。
これかれ出会う方々を、そして今まで出会い、関わってきた方々、全員が皆様の青春時代を支えてくれる方です。
どうか、その出会いを大切にして下さい。
皆様の高校生活がより一層豊かになると思います。
長くなってしまい、申し訳ありませんが、以上で私の挨拶を終わりたいと思います。
皆様、ご清聴ありがとうございました。」
あたしはマイクを置いて、頭を下げる。
大きな拍手が体育館になり響く。
あたしの気持ちは高鳴っていた。
この学校の人達のために、全力で生徒会の活動に取り組みたい。
そして今までの先輩が作り上げてきた生徒会を継承していきたい。
あたしは舞台裏に戻る。
大好きな生徒会の皆が、弥先輩がいる舞台裏に。
完