生徒会の恋愛事情


弥先輩は反対方向に行ってしまう。


遠ざかる背中を見て、あたしはやっと気付いた。


わざわざ送ってくれたんだと。


引き止めてお礼を言いたかったが、もう遅い時間だからそれはしなかった。


だから、絶対に弥先輩に聞こえないぐらいの声で言ったんだ。


「ありがとうございました。」


あたしは弥先輩に向かって一礼する。



頭を上げると、まだ弥先輩の背中が見えた。


でも、すぐに見えなくなってしまう。


視界から彼が消えた瞬間、あたしの胸中に何とも言えない寂しさが広がった。





綺麗な月が大地を照らす


綺麗な月は何でも見てる。


だからそれは…


あたしの運命が一歩前に出た事も気付いたはずだ。




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