生徒会の恋愛事情
「では、とりあえず行きましょうか。」
弥先輩がそう言うと、先輩方がうやうやしく車に乗っていく。
華羅お姉ちゃんも緊張気味に乗り込んだ。
未だに冷静になれないあたし達は、最後にそれに乗った。
「失礼します…」
座席は座り心地の良いソファになっていて、あたしは華羅お姉ちゃんの隣に座った。
車が走り出して暫くすると、あたしは漸く冷静になってきた。
するとどうだろう、くしゃみまで出た。
「はっくしゅん!」
「沙羅ちゃん、寒いですか?」
「いえ。
寒くないです。」
「そうですか…もうすぐ着くと思いますが、何かあったら言って下さいね。」
「ありがとうございます。」
弥先輩が言った通り、間もなく高級車は停止し、ドアが開いた。
1番ドアに近いあたしと光唆が先に外に出る。
だが、2人してドアの前に突っ立ってしまった。
「何だこりゃ!」
光唆が叫んだのも無理はない。
目の前には、美しい庭園と豪邸がある。
「2人とも、出入口を塞ぐのはやめてよ。」
華羅お姉ちゃんに言われて、あたし達は慌ててドアから離れた。
それから先輩方も下りてきたけど、あたし達みたいに驚いてはいなかった。