生徒会の恋愛事情
弥先輩のお家
朝日がカーテンの隙間から、僅かだが部屋の中を照らした。
それはこの部屋が、分厚いカーテンがきちんと閉められている証拠である。
「…ここは何処?」
あたしは目を開けるなり呟いた。
ここは知らないところだった。
こんな装飾の細かいカーテンなんて見た事ないし、こんなにも大きくてフカフカの天涯付きベッドだって初めてだ。
「夢?」
あたしは自分の頬を引っ張ってみた。
…痛かったから夢ではない。
あたしは辺りを見回してみた。
すると、ベッドの脇にアンティークのテーブルライトがあり、その下に半分に折られた紙があった。
あたしはそれを手に取り、そっと開いてみる。
「わ、弥先輩?」
それは弥先輩からあたしに向けられた手紙…と言うよりはメモだった。
『沙羅ちゃんへ
目は覚めた?
覚えてないと思うけど、沙羅ちゃんはうちのリビングで倒れたんだ。
高熱があり、あまり体を動かしてはいけないかもしれないと思い、沙羅ちゃんを家に帰さず、我が家に泊まってもらう事にした。
勝手にごめんね?
僕は7:50になったら家を出るから沙羅ちゃんが目を覚ました時には家にいないかもしれないけど、何時でもいいから電話して下さい。
弥』
綺麗な字で書かれたそれを読み終えると、あたしは時計を見た。
「6:19か…」
あたしは電話するか否か迷った。
まだ寝ているかもしれないと思いつつ、弥先輩はお金持ちみたいで、お金持ちの朝は早いってイメージから、あたしは電話してみた。