生徒会の恋愛事情


「帽子でちょうど目元が隠れちゃったから、顔はよく写らなかったけど…でもね、美羅は見たんだよ!
帽子の垣間から見える涼しげな目元を!」


美羅が力説するが、耳には入ってこない。


あたしの意識は彼女の撮った写真にのみといったところだ。


「でね、雨降る前だったからとりま写メも撮れたんだけど…って沙羅お姉ちゃん、聞いてる?」


「あー、ごめんごめん。
ビックリしすぎて聞いてなかった。」


適当に言い訳して、また食い入るように写真を見つめる。


「にしても華羅もやるわよね。
流石私の妹。」


洗面所から出てきた由羅お姉ちゃんが、あたしの横に座って一緒に写真を見る。


「由羅お姉ちゃんは見た?
帽子の人の顔!」


美羅が興奮した様子で聞く。


「見れたよ。
私はこの男の子の横を通ったの。
華羅は彼氏に夢中で私には気付かなかったみたいだけどね。
イケメンの代表みたいな感じだった。」


由羅お姉ちゃんと美羅が、あたしを挟んで会話に花を咲かせる。


2人はあたしが会話に入ってない事する気付いてないかもしれない。


「でも華羅お姉ちゃん、何処でこのイケメンと出会ったんだろう?
やっぱり学校かな?」


「そうでしょ?
高校生なんだし。
沙羅、この子知ってる?」


「…知らない。」


あたしが否定すると、2人は残念そうに肩を竦めた。



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