生徒会の恋愛事情


「沙羅が知らないって事は、生徒会の子じゃないか…なら、同じクラスの子?」


「さあ…あたしは2年のクラスは行かないから分からないや。
階も違うし、華羅お姉ちゃんに用事がある時は家か生徒会で連絡するから。
っていうか、そこ以外で華羅お姉ちゃんに会う事はないし。」


そうだ、あたしは知らないんだ。


家と生徒会以外での華羅お姉ちゃんも


生徒会以外での弥先輩も…


「そっか。
でもこんな感じの人を学校で見かけたら教えてね。
って…今日華羅お姉ちゃんが帰ってきた時に聞いた方が早いか。」


美羅の言葉が、あたしの脳に響く。


と同時に、あたしはその写真を消去していた。


「あ!
沙羅お姉ちゃん何するの!?」


美羅の手にスマホが渡った時には、写真は既に消えてしまっていた。


美羅がフォルダ内を探すが、無駄である。


美羅が怒っているが、あたしの耳には届かない。


何も聞こえなかった。


否、聞きたくなかったんだ。


美羅が騒ぎ声、宥める由羅お姉ちゃんの声、雨粒が地面を叩く音も、何もかも…




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