生徒会の恋愛事情
ただ…
「華羅お姉ちゃんには言わないでおこう。」
「どうして!?」
あたしの声を掻き消すような妹の言葉だった。
でもあたしは続ける。
「華羅お姉ちゃんだって高校生だよ?
普通に恋愛だってしてもおかしくないじゃん。
それに華羅お姉ちゃんにもプライバシーはあるんだし、華羅お姉ちゃんが教えてくれるまでは内緒なしとこうよ。
それが優しさ。」
言葉が勝手に紡がれる。
何がプライバシー?
優しさ?
そんな綺麗な感情はあたしの中に流れていない。
「沙羅の言う通りだね。
妹に初めての恋人が出来たからって、はしゃぎすぎたわ。
恥ずかしい。」
由羅お姉ちゃんが穏やかに言うと、不満げな末妹も大人しくなった。
あたしはそんな姉妹を視界に入れると、目を閉じた。
まるで、世界から自分をシャットダウンするようだ。
「報告してくれたら、お祝いしよ。」
無邪気な声が、錆び付いた心を揺らす。
「お祝いはいらないでしょ。
おめでとうぐらいは言ってあげたらいいけど。」
「そういうものなの?」
駄目だ、もう心も閉じてしまった。
あたしはフラフラと立ち上がった。
でも話し込んでいる2人はあたしを見ていない。