生徒会の恋愛事情


あたしはダイニングを外れて寝室へ行く。


布団の敷かれてない床に、あたしは座り込んだ。


ドアも閉めて、瞼を下ろして、あたしはじっとする。


誰とも会いたくない。


友人も、家族も…


ただ…


何もかも嫌なくせに、ただ1人の姿が脳裏に浮かぶ。


弥先輩に会いたい。


弥先輩の声が聞きたい。


願いが強くなる程に思い知る。


本当に弥先輩を好きになってしまったんだと。


でも彼は御曹司で、姉の恋人なんだ。


泣きたくなった。


でも、涙は溢れてこない。


どうして?


ありもしない可能性に期待してるの?


華羅お姉ちゃんの恋人は弥先輩じゃなくて、背格好のよく似た人で


あたしが好きになった人ではないのだと。



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